Column (6月) 


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2024.6.26 『シン・ウルトラマン』

22日にCSで放送された『シン・ウルトラマン』を観た。 庵野秀明の『シン』三部作、『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』の1つということで、『シン・ゴジラ』はとても面白かったので、ウルトラマンも期待して観た。 昔の特撮作品は街並のセットの中で怪獣とウルトラマンが闘っていたから、どうしても映像的な限界があった。 それに怪獣やウルトラマンのスーツのファスナーが分ってしまうのも仕方なかったけど、最近の特撮は実写背景に合成する技術が進んで、見事に背景とマッチした映像になっていて、臨場感が増していたと思う。 『シン・ゴジラ』では、羽田沖から上陸し蒲田を通り東京都心へと、見たことのある風景の街を破壊しながら進んでいく、巨大生物の恐さを増長させていた。 『ウルトラマン ブレーザー』も実写背景との合成が上手かったのを思い出す。 アメリカンコミックは、人間サイズのヒーローが悪と闘うのに対して、日本は巨大生物がどこからともなく現れて、それに対して大魔人やウルトラマンのような「神」の化身のような存在が現れて退治してくれる。 怪獣は地震や台風などの自然災害の象徴なのかも知れない。 島国である日本は、大災害に対して無力であり、できることは神仏にすがることだけだったろう。 自然災害以外でも、黒船で開国を迫ってきたペリー提督の存在も、当時の日本人には怪獣のように見えたかも知れないし、いつどこからでも襲われる危険を感じていたからこそ、人知を超えた存在を願っていたのかも知れない。 だから日本には昔から巨大なヒーローが根付いていったんだろうと思った。 だから『シン・ウルトラマン』の体型が、マッチョでは無くヒョロッとした細身のビジュアルだったことが、余計に「神性」を感じて良かったと思った。 

2024.6.18 『火車』宮部みゆき

ネットで「宮部みゆきの最高傑作は?」をクリックしたら、1.火車 2.理由 3.模倣犯と出てきた。 『理由』『模倣犯』は読んだことがあったので、まだ未読だった『火車』を買ってきて読むことにした。 最初は「カード破産」の話と聞いてちょっと躊躇したけど、さすがにストーリーテリングの上手さで、最後まで惹き付けられて読み終えた。 読んでいて思ったのは、社会派の現代ミステリーの他に、時代小説やファナタジー小説など、幅広いジャンルの作品を書いていることから、ボキャブラリーが豊富なことに驚いた。 作者自身が法律事務所に勤務の経験があるからか、専門用語などにも詳しく(もしくは綿密な取材による)、一般には分らないキーワードを提示してくれて、それが一層読者をストーリーに引き込んでくる。 『理由』では「占有屋」という存在を、今回の『火車』では「官報」「行旅死亡人」というのが出てきて興味を覚えた。 身元が分らず、引き取り手の無い死亡者を行旅死亡人として官報に載せるといい、日本では年間に600〜700人が官報に記載されているとか。 (2022年に毎日新聞出版から発売された『ある行旅死亡人の物語』という実話の本を知って、今はそれを次に読みたいと思っている)  『火車』を読み終えてすぐネット検索をしたら、You tubeに上川隆也主演の2011年放送版が公開されていたので、それも続けて観た。 登場人物をバッサリとカットしていたり、設定を変えていたりすることはあったけど、驚くほど原作に忠実に丁寧に描いていた。 最も驚いたのは、劇中に失踪者の手がかりとなる住宅展示場の写真が出てくるんだけど、建物の角度や色合い、写り込むOLらしき人物の制服、野球場の照明など全てが、ぼくの頭の中の想像とソックリだったこと。 それくらい宮部みゆきの文章表現が緻密だったと言うことか? 面白かった。

2024.6.09 ハッカの虫除けスプレー

2年前、部屋の中にアリが列を作っていたのを見て、駆除に苦労したことがあった。 その時、家にあったハッカの結晶を消毒用アルコールに溶かしてスプレーにしたことがあった。 いろいろ調べると、ハッカの匂いはアリだけじゃ無く、様々な虫に効果があるらしいことを知った。 ハッカの結晶の事を「ハッカ脳」と呼ぶこともある。 暑さが始まって今年も、少しだけど観葉植物の周りにアリが出現し始めた。 数件のドラッグストアで「ハッカの結晶は置いてますか?」と尋ねたが、どこにも在庫が無く「ハッカ油ならありますよ」と言われた。 20gで700円くらい。 結晶にくらべると、ちょっと割高だ。 コスパを考えたらハッカの結晶を無水アルコールで溶かし、それを水で希釈して作る手作りの方が安上がりなんだけど、取り敢えず今年の夏だけでもと思い、ハッカ油を買ってきて手作りスプレーを作ってみた。 20gのアルコールにハッカ油を10〜15滴くらい溶かして、200mlの水に混ぜ合わせ、スプレーボトルで噴霧。 ミントの爽やかな香がするし、これで虫が除けられれば嬉しい限り。 それにハッカ油は紅茶やお酒などにほんの少量入れても良いし、夏場のお風呂に入れると爽快感が得られると言うから、使い勝手も良さそうだ。 一夏使ってみて良かったら、来年はネット通販でハッカ脳を買って、大量に作ろうかとも考えている。

2024.6.01 愛すべきダメ男たち

建築士や医者や弁護士が活躍するドラマも良いけど、ダメな男が頑張る姿もまた良いもの。 始まった当初はそれほど期待していなかったけど、回を重ねるに従って意外とハマったドラマがある。 堀田茜が主演の深夜ドラマ『好きなオトコと別れたい』で、毎熊克哉が演じるダメ男が次第に愛おしく思えてきた。 定職につかずプラプラしていて1度は別れた2人だが、なし崩し的に復縁して主人公の部屋に転がり込む。 でも、根が優しく人が良いので憎めない設定。 『セクシー田中さん』の時の真面目で融通のきかない堅物な役も好演していたけど、ダメなのに愛せれる男の役も魅力がある。 そしてもう1人の愛すべきダメ男が、NHK朝ドラ『虎に翼』の主人公・寅子(伊藤沙莉)の父役の岡部たかし。 第43回が神回だった。 戦争は終わったが、栄養失調と肺炎で長くは無いと診断され床に臥せっていた彼が、ずっと隠していた寅子の夫(仲野太賀)の戦死の知らせを見つかってしまう。 数日後、突然家族を枕元に集め、懺悔を始める。 まあ出てくる出てくる本音の数々。 そんなに赤裸々に告白して良いの? 寅子の結婚相手は仲野太賀じゃなく岩田剛典の方が良かったとか、寅子の弟が賢過ぎるので自分の子じゃないんじゃないかと疑ったこととか、妻や嫁が強くて「嫌だなぁ」と思ったこととか、挙げ句に孫を高い高いしてあやした時に、孫の頭を鴨居にぶつけたのを隠していたことなど。 死が近い予感から、てっきり涙のシーンになるかと思っていたら、思わず声を出して笑ってしまった。 良い意味で名シーンだと思った。 こんな展開を思いつく脚本家を賞賛したい。 前作の『ブギウギ』では「アホのおっちゃん」の背景が謎のまま終わってしまったけど、今回の父親役は爪痕を残したね。 「愛すべきダメ男」名キャストだったね。