■人形試作講座(原型〜シリコン型取り)

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1.材料  2.ポリパテによる大まかな造形
試作作業開始。 まずポリパテ(右上)で芯になるものの上から適当な大きさに塊を作り、何度か乾かしては盛り上げていく。 ポリパテは写真のチューブの主剤と小さな緑の硬化剤を混ぜることで固まるもので、30〜60分で削れる状態になる。 削れる程度に固まったら普通のカッターナイフで形を作っていく。 ぼくの場合面倒くさいので殆どカッターナイフ1本で大体を形作ってしまいます。 一通り大きさと形が出来た段階が右下の状態。 ここから細かい造形を施していくことになる。 目は彩色により手描きするので、主に鼻と口の造形に少し凝ろうと思っている。 でも今日の作業はここまで。 カッター使ったんで腱鞘炎ぎみ。 作業し始めると時間を忘れちゃうからなあ。
3.カッターによる削り出し  4.彩色シュミレーション
カッターナイフで細かいディテールを彫り込んでいく。 この時カッターの刃を、リンゴの皮を剥くように削ったり、表面に対して垂直にしてこそげ取るように削ったり、また刃の背の部分を使ったり、切っ先で筋彫りのように削ったりと色々使い分ける。 削り過ぎたらパテを盛りつけ、盛りつけてはまた削るという作業の繰り返し。 地道な作業が続くけど、これが一番大事な作業。 ディテールを造形する時に、目鼻が描かれていないまま作業していると、どうも上手く行かないので鉛筆でラフに目鼻を描き入れてみる。 目を入れると本当に命が吹き込まれたように、生き生きとしてくるから不思議ですね。 この鉛筆ラフは彩色の練習(局面に目鼻を描き込むのは結構難しい)でもあるんで、なるべくやるようにしている。
5.サンドペーパー  6.ディテール造形
さあ、とりあえずの仕上げ。 とりあえずというのは、表面をきれいにしてみると意外に整ってない部分が見えてきたり、修正個所が解りやすくなるのです。 金属用のサンドペーパー(耐水ペーパー)の400番くらいから800番、1000番と進めていく。 地道な作業で、ここで終わりという基準がないので、良いものを作ろうと思ったら手抜きは出来ない。 目鼻口のディテールを彫り込んで、全体をサンドペーパーで仕上げた状態に、耳になる部分にパテを盛った。 口は歯を見せて笑っている感じにするので、まず口の形を彫り込んでからその状態の上に歯をパテ盛りして、削り出していく。 目はまず瞼と瞳の境界線を筋彫りしてから段差をつけていく。
7.原型の完成  8.型取り準備
耳の造形を終わった状態。 表面から突き出した部分は、基本的に表面を仕上げた上に付け足すようにして盛りつけ、造形した方がやりやすいのでこの方法を採る。 (パテが伸びててなんか『スターウォーズ』のヨーダみたい) 最後にもう一度、全体にペーパーがけして仕上げ、シリコン型取りに移る。 シリコンゴムで型を取るために、まずプラ板(スチロール樹脂)で囲いを作り底に油粘土を敷く。 右上に見えるのはスチロール用の接着剤。 今回は顔を前後割りするつもりなので、最初に顔の前面から取っていく。 だから前面を露出させて、後面をやはり油粘土で包む。 
9.原型のセッティング  10.位置合わせの設定
今回はメイキングの紹介も兼ねているので写真のようにコの字型に囲いを作っているが、これは正解だった。 こうしないと指が入らないので作業がしにくかった。 底に敷いた油粘土の上に後面を覆った原型を合体させ、写真のようにセッティングした。 表面は丁寧にするが見えない部分はこんな感じで充分。 行程としてまず顔の前面を取り、次に後面を取って中の原型を外してからもう一度、前と後ろの型を合わせて、その中に樹脂を流し込んで複製を取るので、前後の型がピッタリと合うようにするための位置合わせ野ための窪みを4カ所設けた。 右上に見えるのは工作用の「のり」。 この容器のキャップを利用。
11.シリコンゴム  12.シリコンゴム注入
今は色んなものが市販されているけど、「信越シリコーンKE-12」を今回は使用。 ただし前後割りにするんだったら「KE-17」くらいの硬さののもの(12よりちょっと硬め)でも良かったかなあと今更ながら思う。 KE-12の良いところは固まった後の硬さが柔らかいので、複雑な形状でも抜けやすいこと。 底に油粘土を敷き前面を露出させ、プラ板で完全に囲った状態のものに、硬化剤を混ぜ充分に攪拌したしたシリコンを注入していく。 この時写真のように細く糸状にして注ぐと気泡が入りにくい。 しかし完全に気泡が入らないようにするのは難しいので、まず顔の表面に薄く膜を作るように注いでから全部を注入。
13.脱泡作業  14.片面完成
シリコンゴムを型に注入し終わったらすぐに枠の外側を指などで叩き、小刻みに振動を与えて中に入った気泡を外に逃がす。 トントン叩いていると表面に気泡がゆっくりと現れて弾けていく。 これをちゃんとやらないと最悪の場合原型の表面に気泡が着いて、後で複製を取ったとき出っ張りとなってしまう。 約10時間で固まるので、固まったらひっくり返して油粘土を掻き出す。 きれいに油粘土を取り去らないと、樹脂を流し込んで複製を取ったときに影響するので、気を遣って作業するところ。 これで片面は完成。 次にもう反面を型取りする。
15.離型剤(バリヤーコート)  16.もう片面にシリコンゴム注入
シリコンは殆どのものには接着することはないんだけれど、同じシリコン同士には接着してしまうので、せっかく半分半分型取りしてるのに接着してしまっては何にもならないのでシリコン同士が接着しないように、表面に『バリヤーコート』という離型剤を筆でまんべんなく塗布していく。  離型剤を塗ったものの上からもう片面を取るためにもう一度シリコンゴムを注入していく。 そして注入したら再度、トントントントン脱泡作業。 そしてまた10時間ほどかけて固まるのを待つ。 (段取り的にはなるべく夜とか外出前に注入して固まるまでの時間は別の作業を出来るように計画する。)

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