■人形試作講座2(樹脂複製〜表面仕上げ)

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1.複製準備  2.枠組み
首の部分から樹脂を流し込むので、漏斗状に切り込みを入れた。これが型同士を合わせたとき注ぎ口となる。(写真参照) シリコン型が完成したら次は樹脂による複製。 シリコンの表面はほこりや汚れが付きやすいので、特に顔の前面は丁寧に汚れを取る。 完成したシリコン型はしばらく空気に晒しておいた方が良いと説明書に書いてあったので、数時間放置した。  複製を取るために再び型を合わせる。 今回懸念していた通りKE-12では型が柔らか過ぎて、型合わせが難しかった。(少し硬めのKE-17くらいを使った方が良いと思います。) いつもならビニールテープとかガムテープで固定するんだけど、今回型が柔らかいんで変形防止も兼ねてプラ板に添え木をして輪ゴム止めした。(少しでも圧力が平均するように。)
3.ハイ・キャスト  4.型合わせ
ウレタン樹脂系注型剤  「ハイ・キャスト」(A剤とB剤を混ぜることで硬化する樹脂)を使って、最低2個(一番きれいに出来たもの)を複製する。 これはキシレンが入っているので必ず換気をすること。 経験上このくらいの大きさの人形の頭だと、大体30グラムなのでA剤B剤共に15グラム用意する。 以前試作した時の着色レシピに従い、A剤にオレンジ6滴B剤にレッド4滴のラッカーを混ぜる。 本来異物を混ぜることは邪道なんだけど、経験から多少なら大丈夫だと思う。
5.注入  6.成形失敗
A剤B剤を混ぜると1分くらいで固まり始めるので、素早くしかもムラなく混ぜ、気泡が入らないように静かに注入しなくてはいけない。 注入後、約5〜6分で完全に固まるので、それまで小休止。 かなり発熱するので気を付けて。  着色大失敗。 以前使っていたものと違う「ハイ・キャスト」だったのでちょっと心配はあったんだけど、案の定ラッカーという異物を入れたことにより、気泡が大量発生。 写真のようにクリーチャーのようになってしまった。 水分などを除去してくれる「ドライ・エース」というのを加えると多少抑えられるんだけど、それをやっても効果無かった。
7.正統に複製 8.試行錯誤
ということで、邪道はやめて正統な方法で再び複製を取る。 顎のあたりから後頭部の一部に気泡が出たけど、これは許容範囲。 写真で解るかどうかわからないけど、前後の合わせ部分がどうしてもズレてしまう。 何回も言うけどこれは型の硬さによって解消出来るので、次回はもう1段階硬めのものを使おう。 何個か複製作業を繰り返して、色々と試行錯誤してみた。 気泡を顔の前面になるべく出さないようにするため、樹脂注入後型を写真のように傾けてみた。 これは結構良い方法だった。 更に後頭部から首にかけての注入口を広げ、気泡が型の中で滞らずにスムーズに出ていくようにしてみた。 これも効果があったみたい。 
9.複製完成  10.首の経の加工
色々、試行錯誤しながらだけど仕上げに回せるものを3個複製できた。 (写真右のものが首の部分を広げて気泡抜けをスムーズにしたもの) 着色を複製の段階で出来なかったので、仕上げをした後に塗装で肌色を着色するという別の作業が増えたのと、目や口の彩色が失敗出来ないことになった。(樹脂に着色出来ていれば、彩色時に失敗してもシンナーで何回もやり直し出来るが、塗装の上からだとシンナーで塗装まで落ちてしまう。)  完成後『リカちゃん』のボディーに頭を付けるので、『リカちゃん』の首の経の形に合わせるため、まずドリルで中心を出す。 ドリルは写真のように(ピンバイスを使って)最初から太いものを使わず、細いものから段階を踏んで徐々に太くしていく。 そして全体のデティールを整えて仕上げる。
11.微調整  12.確認
ある程度の穴が開いたら、次はリュータ(ミニ・グラインダー)を使って首の経を微調整する。 『リカちゃん』の首まわりは横が11ミリ奥行きが12ミリと不定形なので、実物合わせで首経を加工していく。 初め何もなしに作業していたら目や鼻の中に削りかすが入るので、工作作業用のゴーグルとマスクを使う。 本物の『リカちゃん』の首位置を鉛筆などで印を付けておいて、試作の顔がどのくらいまで入れば良いのかの確認をしながら作業する。 写真は最終確認の状態。 複製は3個取ったけど、仕上げ作業は2個だけにした。 彩色の失敗を考えての決断。 
13.頭部の段差  14.利用する頭
髪の毛は本物の『リカちゃん』の頭部を切り取ってカツラのように乗せる予定なので、本物の『リカちゃん』の肉厚分の段差を加工していく。 ノギスで計ってみると大体3〜4ミリの肉厚があったので、その部分にあたる場所を平均的に3〜4ミリ削っていく。  全ての作業の一番最初にやっておいたのが、写真のように本物の『リカちゃん』をショートヘアにカットして、美容師さながらに縦にハサミを入れたりしながら髪型を整える。 ヘアーセットが終わったらサランラップでセットを固定して更にセロテープで固定する。(この状態でドライヤーで加熱し10日間くらいするとクセがついている。)
15.カツラ作り  16.カツラ合わせ
クセ付けのためにラップに巻いておいた本物の『リカちゃん』の頭部を切り取る作業。 これが意外と難しい。 塩ビとかソフビとかいわれる、このての素材(塩化ビニール)は柔らかいのでカッターで切るのは結構難しく、ハサミで切るには厚すぎる。 しかも髪の毛を切らずに皮膚の部分だけを切らなければならない。 切り取ったカツラの形状は、やはり不定形なのでカツラの形状に合わせて複製の形状を再微調整する。 2個とも全く同じに作るのは難しいけど、なるべく2個とも同じようなレベルになるように調整する。 (生え際がカツラの形状に近くなるように複製を調整するのが一番の目標)  これで形状の完成。

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