『HR』 (2002.10 水曜 フジ深夜23:00〜23:30)

舞台出身の三谷幸喜ならではの、新しいテレビのスタイルが出来上がるかも知れないと、とても期待はしているんだけど、過去の『竜馬のおまかせ』みたいな期待倒れ(期待度が高すぎた)という結果もあるから、まずは見守る形で見ていきたいドラマ。 シチュエーション・コメディー略して「シット・コム(多分Situation Comedyだと思う)」はアメリカの連続ドラマで、公開録画で観客の笑い声がそのまま伝わる形式だそうで、『ルーシー・ショウ』や『奥様は魔女』のようにヒット作が多いけど、日本ではこの形式は無い。 近いもので『やっぱり猫が好き』くらいだろう。 このドラマ、登場人物の名前(下の名前)が、その役を演じる役者の芸名と同じ名前になっている。 その中で「神野美紀」役の酒井美紀。 最近のCMでは、ハウス『パンでプリン』『パンでグラタン』でよく見かけるけど、彼女と言ったらなんといっても『白線流し』の記憶が一番印象的。 おとなしくて健気な女子高生の役は、映画『Love Letter』(岩井俊二監督)の役とリンクして見えるくらい、彼女のイメージを象徴している。 そんな彼女が、今回は結構ドタバタと動き、忙しく喋るようなコメディーを演じることになりそうで、彼女のイメージを良い意味で裏切ってくれそうな予感。 今年(2002年)の1月から数ヶ月間、三谷幸喜の舞台『彦馬がゆく』でヒロインを演じた経験が、きっと彼女の起用に影響したと思うのは当たっているだろう。 酒井美紀の顔や物腰は、最近の女の子にしては「女性」を感じる存在で、個人的には好きなタイプなんだけど、「目立たない」感が損な感じがしていた。 『笑う犬の生活』で同じような立場でコントに参加し、新しい境地を開拓した遠山景織子のように、今後の酒井美紀もこれを機に飛躍して行くことを期待している。 主演の香取慎吾は、今回で三谷作品出演4作目(『古畑任三郎vsSMAP』『合い言葉は勇気』『みんなのいえ』)。 名コンビによる「笑い」に期待している。

神野美紀