■フーテンの寅■  渥美 清

同じ俳優、同じキャラクターによる同名作品として、一番多いシリーズ作品でギネス・ブックにも掲載された、日本を代表する映画『男はつらいよ』。 「わたくし、産まれも育ちも葛飾・柴又です。帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します」というセリフから始まる、江戸川の土手を歩くシーンがお決まり。 映画好きで知られる北朝鮮の金正日が大好きな作品でもあるそうだ。 寅さんとの出会いは、小学低学年の頃。 2才上の姉が寅さんの大ファンで、『男はつらいよ』のシナリオ本を買ってきて、冒頭のセリフや叩き売りのテキ屋の口上を暗記していた。 「結構毛だらけ、猫灰だらけ、おしりの周りはクソだらけ」とか、「見上げたもんだよ屋根屋のフンドシ」など、ぼくも覚えてしまった。 会社時代、バス旅行が何度かあって、帰りの車内で決まってビデオを流していた記憶も ある。何度も見た初期の作品でも、不思議と引き込まれて観てしまう面白さがある。 なんと言っても、渥美清さんが演じる「寅さん」の快活で人懐っこいキャラが、全国を放浪する自由さと、自分の恋より人情を優先させる不器用なところが、笑いと切なさを感じさせる世界観になっている。 似顔絵を描いていると、その人物の細かい設定が解る。 背広の裏には浮世絵が縫い込まれているし、雪駄の鼻緒も蛇柄だったり、江戸っ子のお洒落を感じさせる、粋を愛する男の設定だ。
2009.2.02

■個性的な脇役たち■  さくら他

『男はつらいよ』の舞台となる柴又界隈の住人たち。 寅さんの妹・さくら(倍賞千恵子)と夫・博(前田吟)。 博の勤める印刷工場の社長・通称「タコ社長」(太宰久雄)。 帝釈天の御前様(笠智衆)と寺男の「源公」(佐藤蛾次郎)を描いた。 他にも「おいちゃん」「おばちゃん」、さくら&博の息子・満男もレギュラー出演者はいる。 だけど、「おいちゃん」は3代、役者が変わっているので、3人描くのが大変だったのと、「おいちゃん」を描かないなら「おばちゃん」だけ描くのも変なので、やめました。 満男の吉岡秀隆は、今後別の役で描くためにとっておきたかったので、ここには描きませんでした。 (HP用ではなく、似顔絵現場の見本で描いた『Dr.コトー診療所』の方が、彼らしさがあったから)   マドンナもたくさん居るけど、ぼくのベスト1は、第10作「寅次郎夢枕」の八千草薫さん。 唯一、両思いだったのに、寅さんの勘違いから身を退いてしまう、切ないストーリーだったのが印象に残っている。 とは言うものの、『男はつらいよ』は全作品を観ていないのです。 初期の第10作目くらいまでは、テレビで何度も再放送で観たけど、その後の作品は4〜5作品くらいしか観ていない。 今度、機会があったら全作品を観てみようかな?
2009.2.02