■わっちが一升庵の女将でやんす■  蒼井 優

フラガール姿の彼女も可愛かったけど、着物姿で”柔らかい”印象の彼女もステキだ。 倉本聰さんの言い方を借りれば「ひらがなの”女”」という雰囲気が魅力的。 イオン・カードのCMが、彼女を初めて見た最初だと思う。 若手の中では演技派なのに、ドラマや映画の主演は少なかった。 なんと言っても、映画『フラガール』のヒットで、知名度を大幅に上げたんじゃないかな。 東北弁のセリフと、独りで黙々と練習する姿が、健気な感じで良かった。 テレビでは『Dr.コトー診療所』の、看護師役が印象的だった。 彼女の顔は、目と眉毛が比較的離れているのが、”柔らかい”イメージを作っている気がする。 そして笑ったときの目が、半月上になり、屈託のない表情になるのが特徴。 今回、初主演のドラマ『おせん』は、マンガ原作らしいけど、彼女の着る着物や着こなし、ヘアースタイルが毎回違っていて、特に、着物にマフラーを巻いたような姿は、ちょっと独特のキャラになっていて良い。 彼女のセリフは、「わっち(一人称)」とか「〜でやんす」など、花魁言葉がまた新鮮な感じがする。 料理に対する哲学とも言える拘りや、オフの時は大好きな酒を朝から飲むなど、キャラクター設定が魅力的だと思う。 今期の連ドラの中では、一番好きな作品だ。
2008.6.01

■説教&熱血教師■  佐藤隆太

とにかく”熱い”人物を演じている。 試合中の乱闘騒ぎが原因で、廃部となってしまった元野球部を復活させるために、新任教師の川藤が奮闘するストーリー。 癖のある不良学生たちの前に立ちはだかった彼の姿は、往年の熱血ドラマ『スクール・ウォーズ』を下敷きにしている印象がある。 TBSの連ドラとしては、夜8時からというのも珍しい。 他局の学園ドラマ(NHK『バッテリー』、日テレ『ごくせん』、テレ朝『パズル』)に比べて、学生役の俳優たちがみんな、演技のしっかりした俳優ばかりなので、安心感はあるけれど、「”高校生”にしては歳をとりすぎてないか?」と思う者も居る。 ただ、不良学生の心を川藤がつかんでいく過程が、ちょっと早すぎる気がしてならない。 もう少し、その辺の心情の変化を丁寧に描いて欲しい気がするな。 まあ、1クールという制約の中で、ある着地点までもって行くには、早いストーリー展開になってしまうのも解るけど、その辺りが薄っぺらく見えてしまうんだな。 佐藤隆太を最初に見たのは、『池袋ウエストゲートパーク』だ。 でも、印象に残っているのは『木更津キャッツアイ』の方が強い。 ぼくが一番好きなのは、『歌姫』の”クロワッサンの松”役だ。 3話まで、全く笑わない”中村の狂犬”という異名で、危険なイメージだったけど、それ以降にガラッと変わってしまう役柄が、おかしくてたまらなかった。 彼も良いキャラの役者だ。
2008.6.01