■金のクールビューティー■  荒川静香

大きく期待されていた日本選手が総崩れだったトリノ・オリンピック。 金メダル確実と言われていた人たちが、金どころか表彰台に上ることさえできない成績。 最後の最後にやってくれたのが、女子フィギュア・スケートの荒川静香。 得点重視となった新しい採点システムながら、”お客さんのために”という気持ちで、急遽取り入れることになった、荒川選手の代名詞の”イナバウアー”に、世界の人々がスタンディング・オベーションで拍手を贈った光景は、胸がすく思いだった。 小学生の時に3回転ジャンプを成功させ、かつて”天才少女”と呼ばれた彼女も、去年の幾つかの大会では浅田真央ちゃんに2敗という形で、”新しい天才少女”の出現で、時代を痛感したような複雑な表情だったのを思い出す。 その時の印象派「この人、あんまり笑わないなぁ」と思ったほど、無愛想な感じに見えたけど、トリノで金メダルを獲ってからは、本当に気持ちの良い笑顔を見せてくれた。 『金芽米』という商品のCMに出演している彼女のお陰で、このお米の売り上げも好調だとか。 「流石にスポンサーだな」と思ったのは、金メダルを獲った翌日のオンエアから、同CMに「荒川選手、金メダルおめでとうございます」というテロップが掲げられていたこと。 優勝を争った他の3人(スルツカヤ、コーエン、村主)は、金メダルに対して「力で獲るぞ」という印象だったけど、彼女のスタンスは”しなやか”という言葉がピッタリ感じだった気がする。
2006.3.01

■氷上の演技者■  村主章枝

トリノ・オリンピック、女子フィギュア・スケート第4位に輝いた彼女。 ショート・プログラムの時の、赤に黒いストール風の衣装も良かったけど、フリーの時の紫のグラデーションの衣装も、彼女のイメージに合っていて素敵だった。 ぼくの個人的な意見としては、SPもフリーの演技も、殆ど完璧だったと思うんだけど、点数が伸びなかったのが惜しいと思ったね。 他の選手のように、代名詞になるような大技で、高い得点の得られるものがなかったから、採点が伸びなかったのかな?  大柄な体形の選手も多いオリンピックだけど、ことフィギュア・スケートという競技に関しては、彼女のような小柄で華奢な体形の方が、フィギュアの世界観に合っているように感じるんだけどなぁ。 そういう意味では、浅田真央ちゃんの体形も村主選手に似ていて、氷上の”妖精”というイメージにピッタリだよね。 フリーの演技が終わった後、スタッフのもとに戻ってきた彼女が、年配の男性に抱きついて「もう動けない」と言った一言が、強烈に印象に残ってる。 「軽やかに舞うようなスケーティング、優雅に見える氷上の演技も、かなり体力を使い果たす4分間なんだなぁ」と思った一瞬だった。
2006.3.01